「AIで仕事のやり方を変えましょう」と言われて、ピンときますか?
ぼくは健康診断の受付を24年やっています。検診車の運転もします。
最近、こういう趣旨の記事をよく見かけます。
AIは、入れるだけでは効果が出ない。業務のやり方そのものを見直さないと意味がない。
日本IBMの人が、そう話している記事が出ていました(ITmedia・2026年8月31日)。IBMの社内でも、490ある業務プロセスのうち約70をAIを使う対象にして、4000以上のAIエージェントを検討している。その活用で約45%のコスト削減という成果も出ている、という内容です。
言っていることは、たぶん正しいんだと思います。
ただ、正直に書くと、この手の見出しを見るたびに、ぼくはどこか冷めた目で読んでいます。
その話、前にも聞いたな、と思うからです。
なぜ「DXのときと同じだ」と感じるのか?
数年前、「これからはDXだ」という言葉が、世の中のあちこちで飛び交っていた時期がありました。デジタルで仕事を変える、紙をなくす、データで判断する。あのときも、言われていたことは同じでした。ツールを入れるだけでは意味がない、仕事のやり方から変えないといけない、と。
言葉が「DX」から「AI」に変わっただけで、中身はほとんど同じに聞こえます。
ぼくがそう感じるのには、理由があります。
この24年で、健診の現場もそれなりに変わりました。昔は、紙の名簿を蛍光ペンでチェックしていました。いまは、パソコンで管理しています。朝の混雑をならすために、時間割を組む現場も増えました。
ただ、そのどれも、大きな号令が来たから変わったわけではありません。目の前に困っていることがあって、手を動かしたら、そうなった。順番は、いつもそっちでした。
だから、外から大きな言葉が降ってきても、現場はすぐには動きません。それで動いたことが、あまりないからです。
道具を配るだけでは、なぜ使われないのか?
紙の名簿と蛍光ペンの話を、もう少しだけ書きます。
名前を探して、線を引く。それを一人ずつ、繰り返していました。いまは、同じことがパソコンの中で済みます。速くなったのは、間違いありません。
ただ、変わったのは「パソコンが来たから」ではないと思っています。それを使う人間が、必要だと感じて、手を動かしたからです。
道具だけ置いて「これで効率化しました」と言っても、現場は動きません。使う理由が腹に落ちて、はじめて道具は道具になります。これは、以前〈AIで仕事は楽になる、と思っていた|「道具」と「姿勢」の話〉にも書きました。
ぼくの職場は、AIに遅れているのか?
正直なところを書きます。
内勤の方たちはAIを使っている、という話は聞きます。ただ、それが実際に機能しているのかどうかまでは、ぼくには分かりません。聞いている、というだけです。
うちは遅れているのかもしれない、と思うことはあります。
ただ、これも確かではありません。ぼく自身がAIの情報を追いかけているから、そう見えているだけかもしれないからです。毎日その話ばかり読んでいれば、世の中はもっと進んで見えます。自分の物差しが、いつのまにか長くなっている。
ここから先は、確かめたわけではありません。あくまで、ぼくの想像です。
たぶん、慎重になっているんだと思います。
遅れているのと、慎重なのは、違います。慎重なのには、たいてい理由があるはずです。ただ、その理由をぼくが知っているわけではありません。だから、決めつけません。
ただ、ひとつだけはっきりしていることがあります。
会社が慎重であることと、ぼくが手を動かさない理由は、別だということです。
じゃあ、現場は何から始めればいい?
大きな号令を待っていると、たぶん何も変わりません。号令は、また消えます。
ぼくがやったのは、ひとつだけです。会社の話とは関係なく、自分の手元で、AIをひとつ試してみました。
50歳からの学び直しです。得意ではありません。でも、新しい道具はまず触ってみる、という質は、昔からありました。現場の機械も、検診車の勝手も、全部そうやって覚えてきたので。
やってみると、大げさな「業務改革」ではなくて、ものすごく小さいことから変わります。文章の下書き、調べもの、言い回しの相談。ひとつずつ、手間が減っていきます。
「仕事のやり方を根本から変える」は、そのあとの話です。まず、手元のひとつから。
それで、何か結果は出たのか?
ここまで「試してみましょう」と書いてきたので、ぼく自身の結果も出しておきます。
いま読んでいただいているこのブログも、AIに下書きを手伝ってもらっています。
50歳から始めて、8月22日から毎日1本ずつ書いています。正直、ぼくひとりの時間では続きません。文章が得意なわけでもありません。それでも続いているのは、下書きまでを任せて、そこからぼくが直す、という形にしたからです。
任せきりにはしていません。現場の話が事実と違っていれば書き直しますし、言い回しも自分の言葉に変えます。むしろ、そこがいちばん時間のかかるところです。
隠すことでもないので、書いておきます。会社の号令とは関係なく、手元でひとつ試した結果が、これです。
50代がAIを「面白そう」と思えるかどうか?
先日読んだ別の記事に、こういう調査が載っていました(ITmedia・2026年8月28日)。
仕事でAIを使う正社員の割合は、1年で41.9%から54.3%に増えた。そして、差がついたのは「役に立つかどうか」で考えた人ではなく、「面白そう」と思って手を伸ばした人だった、と。調査をしたパーソル総合研究所の研究員が、そう話しています。
50代は、この「面白そう」を口に出しにくい年代です。今さら、と思われそうで。若い人に聞くのも、少し気が引けます。
でも、号令が来るのを待っていると、たぶん一生始まりません。号令は、現場の事情を知りません。
まとめ:号令を待たずに、手元でひとつ試す
「AIで業務改革」という言葉は、これからもっと増えると思います。ぼくの職場にも、いつか「AIを使え」という話が来るかもしれません。
そのとき、ゼロから慌てて始めるのか、すでにひとつ触ったことがある状態でいるのか。この差は、意外と大きいと思っています。
DXのときと同じ空気だ、と冷めた目で見るのは、それはそれで正しいと思います。号令で現場が変わったところを、あまり見ていないのですから。
ただ、冷めた目で見ながら、手だけは動かしておく。号令とは関係なく、自分のために、ひとつだけ試しておく。
24年、現場にいて思うのは、結局そういう人が、いちばん困らずに済んでいる、ということです。
(関連:〈機械が測れないものが、ひとつだけある|健康診断の受付24年で気づいたこと〉)
よくある質問
「AIで業務改革」と聞くと、なぜ身構えてしまうのですか?
現場が実際に変わってきたやり方が、大きな号令とは関係のないところで変わってきたからだと思います。ぼくの現場では、紙の名簿が消えてパソコンになりました。でもそれは、目の前に困っていることがあって手を動かした結果でした。外から降ってくる大きな言葉で動いた記憶が、あまりありません。だから新しい言葉が来ても、すぐには飛びつかないのだと思います。
現場は、まず何から始めればいいですか?
会社の号令とは関係なく、自分の手元で小さいことをひとつだけ試す、というのがぼくのやり方でした。文章の下書き、調べもの、言い回しの相談。いきなり「仕事のやり方を根本から変える」ではなく、手間がひとつ減るところから始めると、続けやすいと感じています。
50代からAIを触るのは、もう遅くないですか?
ぼくは50歳から学び直しています。得意ではありません。ただ、ある調査では、AIを使えるようになった人の差は「役に立つか」で考えたかどうかではなく、「面白そう」と手を伸ばしたかどうかだったそうです。年齢より、そこだと思っています。
職場でAI活用の号令が出ていなくても、始めていいのですか?
いいと思っています。号令は、現場の事情までは知りません。来るのを待っていると、始まらないまま時間が過ぎます。号令が来たときに「すでにひとつ触ったことがある」状態でいるほうが、慌てずに済みます。
このブログは、AIが書いているのですか?
下書きまではAIに手伝ってもらっています。ただ、そこから必ずぼくが直しています。現場の話が事実と違っていれば書き直しますし、言い回しも自分の言葉に変えます。任せきりにはしていません。隠すことでもないので、そのまま書いています。
参考にした記事
- AI活用にも業務プロセスの見直しが必要、と日本IBMが話す記事(ITmedia・2026年8月31日)
- 正社員のAI利用率と「面白そうで手を伸ばした人」の話が出てくる記事(ITmedia・2026年8月28日)
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