健康診断で、血圧のところだけ数字が高く出る。
ほかの項目は毎年だいたい同じなのに、血圧だけ、なぜか高い。
家で測ると普通なのに、健診会場だと上がる。
ぼくは健康診断の受付を24年やっています。
毎年、その「血圧だけ高い」に心当たりのありそうな人を、受付の側からたくさん見てきました。
そして、正直に書くと、ぼく自身もその一人です。
今日はその話を書きます。
医療の説明ではありません。現場で見てきたことと、50歳で自分も受ける側になって感じたことです。
健康診断のときだけ血圧が高いのは、気のせい?
気のせいではないと思います。
「家では普通なのに、病院や健診だと血圧が上がる」というのは、けっこう知られた話です。
医療の世界では「白衣高血圧」と呼ばれることもあるようです。
ぼくは医療者ではないので、そこから先の説明はしません。かかりつけの先生のほうが正確です。
ただ、受付に立っていると、「上がってしまう理由」のほうは、なんとなく分かります。
健診会場は、リラックスできる場所ではないからです。
受付には、緊張している人がどれくらい来る?
数えたことはありません。
でも、顔を見れば、だいたい分かります。
会社に言われて来た人。
午前中に終わらせて仕事に戻りたい人。
去年ひっかかって、今年こそはと思っている人。
朝ごはんを抜いて、少しふらついている人。
みんな、どこか身構えています。
「これから何をされるんだろう」という顔で、順番を待っています。
その状態で血圧を測れば、上がっても不思議はありません。
ぼく自身、受ける側にまわると、やっぱり上がります。
なぜ健診の場所は、あんなに落ち着かないのか?
理由はいくつもあります。
まず、知らない場所です。
会議室だったり、体育館だったり、検診車の中だったりします。
毎年場所が変わることもあります。
次に、順番が読めません。
「あと何人で自分か」が分からないまま、椅子に座って待ちます。
時間が見えないと、人は落ち着きません。このことは、以前〈健康診断の待ち時間は、なぜ長い?|受付を24年やって分かった、苦情の本当の原因〉にも書きました。
そして、まわりに人がいます。
すぐ後ろに次の人が並んでいる。
そういう場所で、腕を出して、黙って測定を待つ。
これで血圧が下がるほうが、めずらしいと思います。
苦情の多くも、待ち時間の長さそのものより、この「先が見えない不安」から来ていました。
そのことは〈クレームは「待ち時間」ではなく「不安」から生まれる〉に書いたとおりです。
血圧を測る前に、自分でできることはある?
ぼくは医療者ではないので、「これをやれば下がる」とは言えません。
そのうえで、受付から見ていて「この人は落ち着いているな」と思う人には、
共通点のようなものがあります。
測る前に、少し椅子に座って一息ついている。
受付や案内係と、ひとことふたこと言葉を交わしている。
腕まわりがきつくない服で来ている。
どれも、たいしたことではありません。
でも、来てすぐ、走るように測定の椅子に座る人より、
少し呼吸を整えてからのほうが、本人も楽そうに見えます。
くわしいことは、お手元の案内と、当日のスタッフに聞いてみてください。
健診は毎年、細かいところが変わります。一般論で言い切らないほうがいいと、ぼくは思っています。
1回目が高かったら、それで決まりですか?
これは、書いておきたいことです。
ぼくが見ている現場では、血圧が高く出た方については、もう一度測ります。
1回目の数字が高かった。それで終わり、ではありません。
あなたがお願いしなくても、そういう流れになっています。
だから、腕を出した瞬間に「うわ、今日は高いかも」と思っても、
そこで諦めなくて大丈夫です。まだ、もう一度あります。
数字を出す側ではなく、順番をご案内する側から見ていても、
ここを知らずに身構えている方は、多い気がします。
数値が気になったとき、その場で相談していい?
いいと思います。ただ、相談する相手には、順番があります。
ぼくは受付なので、血圧の数値そのものは見ていません。
判定にも関わりません。
「気になる」という相談も、受付のぼくのところには来ません。
その話は、血圧を測ってくれた担当者に、その場で伝えてください。
そこから先をどうするかは、測定の担当が判断します。
黙って持ち帰って、1年間モヤモヤするより、その場でひとこと聞くほうが、ずっといいです。
普段の自分の血圧を、知っておくと何が違う?
健診の血圧は、その日に、あの場所で測った数字です。
慣れない場所で、緊張した状態で測った数字。
それだけを見て一喜一憂すると、振り回されます。
家で、落ち着いたときに測った数字を何日か持っていると、
「健診のこの数字は、いつもより高めに出たな」と、自分で見当がつきます。
高いなら高いで、かかりつけの先生に相談する材料になります。
ぼくの家にも血圧計があって、ときどき測っています。
正直、数字と向き合うのは、あまり気が進みません。
それでも、健診の日の数字だけで一喜一憂するよりは、家の数字があったほうが落ち着きます。
まとめ:24年受付に立って、いちばん伝えたいこと
健診の数字は、あなたを責めるために出しているのではありません。
血圧のところで身構えてしまう人を、24年見てきました。
その気持ちは、よく分かります。
ぼく自身、血圧は高めです。
健診で腕を出すときは、いつも身構えます。
ほんの少しでも低く出てほしい、と思いながら測っています。
本当は、そこじゃないんですけどね。
緊張して高く出た数字も、
「今の自分は、この場所ではこう出るんだ」という情報のひとつです。
そこから、家で測ってみるとか、先生に相談するとか、次の一歩につなげれば、それでいい。
受付で順番を待つ人の顔を見ながら、そして自分が受ける番になったとき、
いつもそう考えています。
(関連:〈健康診断の当日に体調が悪いとき、受けるべき?|受付を24年やって、言えずにいたこと〉)
よくある質問
健診で血圧が高かったら、その場で再検査ですか?
再検査、という大げさなものではありません。ぼくが見ている現場では、血圧が高く出た方については、もう一度測ります。お願いしなくても、そういう流れになっています。そのあとどうするかを決めるのは、測定の担当です。受付のぼくのところには、その相談は来ません。最終的な判定は、後日、郵送される結果で届きます。
受付の人は、私の数値を見ていますか?
少なくともぼくは見ていません。受付でやっているのは、名前の確認と順番のご案内です。
緊張しないコツはありますか?
「これをやれば下がる」とは、医療者でないぼくからは言えません。ただ、少し座って一息ついてから測定に向かう人は、本人も楽そうに見えます。気になる場合は、かかりつけの医療機関にご相談ください。
家庭用の血圧計は買ったほうがいいですか?
人によります。普段の数字を知っておくと、健診の日の数字に振り回されにくくなる、というのはぼく自身が家で使っていて感じることです。買うかどうか、使い方をどうするかは、かかりつけの先生に相談するのがいちばんです。
日々の現場での気づきは、Xでも書いています。
👉 @genba50ai
