健康診断の受付を、24年やっています。
現場の道具は、この24年で何度か変わりました。紙の名簿に蛍光ペンで線を引いていた受付が、いまはパソコンでの管理になりました。やっていることは同じで、道具だけが新しくなる。そのたびに、ぼくは最初、手が止まります。慣れるまで、人より時間がかかります。
いまぼくが手を止めているのは、AIです。50歳、パソコンは得意ではありません。そのうえ、職場でAIの相談ができる相手が、思い当たりません。
たぶん、同じ状況の人は多いです。きょうは、教えてくれる人がいないなかで、ぼくがひとりで続けている3つのことを書きます。すごい方法ではありません。24年、新しい道具に慣れてきたときと、やっていることは同じです。
なぜ「くわしい人がいない」だけで、こんなに進まないのか?
ビジネスパーソン300人への調査で、仕事でAIを使ううえでいちばんの壁に挙がったのは、「社内にAIに詳しい人がいない」でした。
仕事でAIを使う上での課題、1位は「社内にAIに詳しい人がいない」で45.0%。AIの利用率は60.7%、関心がある人は74.0%。
(OTENBA株式会社・未知株式会社の調査/対象300人/2026年7月30日発表)
出典はPR TIMESの発表に置いておきます。
新しい道具は、最初のつまずきを誰かに聞ければ、そこを越えられます。「それ、どこを押すんですか」と一言。ぼくが現場で新しい機械を覚えてこられたのも、隣に聞ける人がいたからでした。
AIは、その「隣の人」がいないまま始めることになります。だから、入り口で止まる人が多いのだと思います。
でも、ここでひとつ、見落としていたことがありました。
1つめ:まず「一回、話しかけてみる」
AIには「隣の人」がいません。その代わり、AIそのものに聞けます。
ぼくが最初にやったのは、大きな目標を立てることではありませんでした。その日に引っかかったことを、ひとつ、そのままAIに打ち込んだだけです。
うまい聞き方は、考えませんでした。人に話しかけるように書きました。返ってきた答えが的外れでも、気にしませんでした。言い方を変えて、もう一度聞き直すだけです。
最初の一歩は、「正しく使う」ではなく「一回、話しかけてみる」でした。ここを越えると、次からは道具のひとつになります。
2つめ:分からないことは、整えずにそのまま聞く
人に聞くときは、「こんなことも分からないのか」と思われないように、質問を整えてから聞きます。相手の時間をもらうからです。
AIには、その遠慮がいりません。用語を知らなくても、「さっきの説明、むずかしかった。小学生に話すみたいに言い直して」と打てば、言い直してくれます。ぼくは何度でも、この「言い直して」を使います。
分からないことを、分からないまま聞ける。これは、聞ける相手が隣にいるときより、むしろ気楽かもしれません。
じつは、このブログの文章も、AIに手伝ってもらいながら書いています。そのいきさつは「AIで仕事のやり方を変えましょう」と言われても、現場はピンとこないに書きました。号令を待たず、手元でひとつ試してみた、という話です。
3つめ:時間の長さより「毎日ひらく」
長くやる必要は、ないと思っています。
ぼくは、朝に一回、分からないことをひとつ聞くところから始めています。時間にすると、数分です。うまくいった日も、何も進まなかった日もあります。
大事なのは、時間の長さより「毎日ひらく」ことでした。三日空けると、前に何を聞いたか忘れます。忘れると、また入り口に戻ります。少しずつでも毎日ひらいていれば、入り口には戻りません。
24年前、新しい機械を覚えたときと何が違う?
やっていることは、あまり変わりません。
最初は手が止まる。何度か触るうちに、止まらなくなる。この順番は、紙の名簿からパソコンに変わったときと同じでした。
違うのは、教えてくれる人がいないことです。だからぼくは、AIを「覚える相手」ではなく「聞く相手」だと思うことにしました。覚えようとすると、量に押しつぶされます。聞く相手だと思えば、分からないことがあるたびに開けばいいだけになります。
道具と、それに向かう姿勢の話は、AIで仕事は楽になる、と思っていたにも書きました。
50代がAIで挫折しないために、いちばん大事なことは?
「分からない」と言えることだと思っています。
これは前にも書きました(50代がAIでつまずくのは「わからない」と言えないから)。年齢が上がるほど、知らないことを認めるのが苦しくなります。でもAIの前では、それを認めても誰も見ていません。
聞ける相手が職場にいないことは、たしかに不利です。ただ、あの調査の45%という数字を見て、ぼくは少し楽になりました。詰まっているのは、自分だけではなかった。多くの人が、聞ける相手がいないまま、ひとりで手を動かしている。
同じところに立っているなら、あとは、ひらくかどうかです。
座右の銘は「出来るか出来ないかではなく、やるかやらないか」です。きょうも、分からないことをひとつ、AIに聞くところから始めます。
まとめ
教えてくれる人が職場にいなくても、ひとりで覚えていけます。ぼくが続けているのは、この3つだけです。
・一回、話しかけてみる。正しく使おうとしない
・整えずに、そのまま聞く。「言い直して」を何度でも使う
・毎日ひらく。三日空けると入り口に戻る
調査では、仕事でAIを使う壁の1位は「社内に詳しい人がいない」で45%でした。聞ける相手がいないのは、あなただけではありません。いちばん大事なのは、「分からない」と言えることです。
なお、この記事はぼくの体験と、ひとつの調査をもとにしています。AIの使い方や学び方に、正解が決まっているわけではありません。
よくある質問
Q. AIは無料で使えますか?
A. 代表的なものには、無料で使える範囲があります。よく名前が挙がるのは、この3つです。
・ChatGPT(OpenAI)
・Claude(Anthropic)
・Gemini(Google)
どれから始めても大丈夫だと思います。
ただし、無料で使える範囲も料金も、変わることがあります。最新の内容は、それぞれの公式ページでご確認ください。
まずは無料の範囲で「一回、話しかけてみる」ところからで十分です。
Q. 何を聞けばいいか分かりません。
A. その日に引っかかったこと、うまくいかなかったことを、ひとつそのまま打ち込んでみてください。ぼくはそこから始めました。
Q. 変なことを聞いて、笑われませんか?
A. AIは笑いません。用語を知らなくても、「むずかしいので言い直して」と打てば、言い直してくれます。
Q. 50歳からでも、間に合いますか?
A. ぼくは50歳で始めました。24年前に紙からパソコンへ変わったときも、慣れるのに時間はかかりました。順番は同じで、最初は手が止まって、そのうち止まらなくなります。
