健康診断の受付を、24年やっています。
検診車を運転して会場に着き、机を並べて、受付の列をつくるところから一日が始まります。
その机の前に立ったとき、「何を聞かれるんだろう」と身構える方がいます。声には出さなくても、顔で分かります。
でも、受付で聞かれることは、実はそんなに多くありません。
きょうは、受付側から見た当日の流れを書きます。ぼくが立っている場所から見えることだけを書くので、制度の説明ではありません。
健康診断の受付では、何を聞かれる?
まず、お名前を確認します。それから、受ける検査の確認です。
会社の健診であれば、誰がどの検査を受けるかは、あらかじめ名簿で決まっています。受付でその名簿と照らして、「この方は、きょうこれを受ける」を確定させる。それが受付の仕事です。
昔は、紙の名簿を蛍光ペンでチェックしていました。いまはパソコンで管理しています。やっていることは同じで、道具が変わっただけです。
いずれにしても、受付で改まって聞かれるのは、本人確認と、受ける検査の確認まで。
生活習慣や体調の細かい話は、受診票と、そのあとの担当者との場面に移ります。受付の机の前で、健康のことを根掘り葉掘り聞かれることはありません。
当日、持っていくものは何?
これは、会社や自治体から届いた案内に書いてあるものが最優先です。
実施する主体によって、必要なものが違います。ですので、ここで「これを持っていけば大丈夫」と一律には書けません。案内の紙が正解です。
無責任な言い方に聞こえるかもしれません。でも、ぼくがここで「保険証がいります」と書いて、あなたが受ける健診では違った、というほうが困ります。
ぼくが受付でよく見るのは、受診票の書き忘れと、事前に配られたものの忘れ物です。
どちらも、そこで時間がかかります。ご本人の時間も、後ろに並んでいる方の時間も、そこで伸びます。
受診票は、いつ書けばいい?
前の日までに、家で書いてきてください。
ぼくのいる会社では、事前に書いてくることがお約束になっています。「会場で書けばいい」という運用ではありません。
ここは、はっきり書いておきます。書かずに来ると、困るのはご本人です。
書いていないと、せっかく並んだ順番が、書いているあいだに抜かされます。
急かされるわけではありません。誰も怒りません。ただ、列は止まらないので、その場で書いているあいだに、後ろの方が先に進んでいきます。
早く家を出たのに、順番だけが後ろに下がる。これがいちばん、もったいないと思っています。
前の日に、机に向かって書いてください。思い出す時間も、書き直す時間も、自分のペースで取れます。
受付で、名前を呼ばれますか?
ぼくのいまいる会社では、名前は呼びません。「次の方、どうぞ」とお声をかけます。
これは、受診者ご本人にも順番を意識していただくためです。名前ではなく順番で進むほうが、並んでいる側も「あと何人か」が分かります。
ただし、これは会社によって違います。ぼくはこの仕事を24年続けていますが、そのあいだに会社は何度か変わりました。以前いた会社には、名前を呼ぶところもありました。同じ健康診断でも、やり方はひとつではありません。
健康のことは、誰にとっても、人に聞かれたい話ではありません。名前を呼ばれるのが気になる方がいるのは、そのとおりだと思います。
そして、聞きにくいことを確認するとき。ぼくは受診票をペンで指して聞いています。「ここ、大丈夫ですか」「ここは、どうですか」。
声に出す言葉を減らせば、それだけで足ります。24年やってきて、これがいちばん角が立たない聞き方でした。
なお、受付で使っている基本のシステムは、ネットにつながっていません。そこから外に情報が出ていく仕組みにはなっていません。
朝いちばんに行けば、早く終わる?
ここは、答えを二つに分けたほうが正確です。「早く帰れる」と「短く済む」は、別のことだからです。
まず、帰れる時刻。順番が前のほうであれば、あとから来た方よりは早く終わることが多いです。これは、そのとおりです。
ただ、会場にいる時間のほうは、長くなる傾向があります。健診がスタートする時刻に、人が集まるからです。
たとえば、あくまで目安ですが、こういう差になります。
受付 9:00 → 終了 10:30(会場にいた時間 1時間30分)
受付 10:30 → 終了 11:30(会場にいた時間 1時間)
1時間早く帰れて、会場にいた時間は30分長い。これが、同じ日の、同じ会場で起きます。
最近は、朝に集中しないように時間割を組む現場が増えました。何時から何時のあいだに来てください、という形です。
指定された時間があるなら、その時間に合わせてください。会場全体の流れは、その時間割で組まれています。
受付で「あとどれくらい待つか」を聞いてもいい?
聞いてください。ただし、正確な時刻は、お答えできません。
その日の進み方は、検査の混み具合で変わります。ですのでぼくは、大まかな時間を、少し長めにお伝えするようにしています。
短く言って、それより延びるほうが、待つ側はつらいからです。
ぼくのいる現場では、混んでいる日の朝、10番目より後ろに並んだ方には、こちらから先に声をかけています。
「今混んでます。相当時間かかりますのでよろしくお願いします。長い方で1時間超えるかの可能性があります。よろしいですか?」
正直に言えば、あまり言いたい言葉ではありません。それでも、先に言うようにしています。
動線を工夫すれば早く終わる。そう思って、現場の流れを何度も見直した時期がありました。でも、それだけではクレームは減りませんでした。
減らなかった理由は、待ち時間の長さそのものではなく、「いつまで待つのか分からない」ことのほうだったと、いまは思っています。このあたりはクレームは「待ち時間」ではなく「不安」から生まれるに詳しく書きました。
多いときは、30人以上が並ぶ日もあります。混雑した日の列の最後のほうだと、30分以上待つこともあります。それでも、先に言っておけば、待つ側は予定を組めます。
ちなみに、この声かけをして「じゃあ、やめます」と言われたことは、24年で一度もありません。
そもそも待ち時間はなぜ長くなるのか、という話は健康診断の待ち時間は、なぜ長い?にまとめています。
結果は、受付でもらえる?
もらえません。
健診の結果は、後日、郵送で届きます。「要再検査」の案内も、その郵送される結果に同封されています。
そして、受付にいるぼくは、結果の数値を見る立場ではありません。その日会うのは、結果が出る前の方だけです。
だから、受付で「私の数値、どうでしたか」と聞かれても、お答えできません。意地悪をしているのではなく、こちらの手元にないのです。
結果がいつ届くかも、実施する主体によって違います。ここも、届いた案内をご確認ください。
まとめ|受付を24年やって、いちばん思うこと
受付で聞こえてくるのは、「会社に言われたから来た」「早く帰りたい」という言葉が多いです。
それは自然なことだと思います。ぼく自身、50歳で受ける側になりましたが、気持ちは同じです。健診の日は、朝から少し身構えます。健康診断は「受けるだけ」でもしんどいと書いたのは、そういう理由です。
だからこそ、受付で余計に足止めしないことと、待つ時間の見通しを渡すことが、こちらの仕事だと思っています。
そのうえで、お願いしたい準備は3つだけです。
・案内の紙に書いてあるものを、前の日にそろえておく
・受診票は、前の日までに家で書いてくる
・時間の指定があるなら、その時間に合わせる
この3つで、当日ご自身が困る場面は、かなり減ります。
受付で聞かれるのは、名前と、受ける検査の確認まで。身構えなくて大丈夫です。
よくある質問
Q. 受付で健康保険証は必ずいりますか?
A. 実施する主体によって違います。届いた案内をご確認ください。ここで一律には決められません。
Q. 受診票を書かずに行ったら、受けられませんか?
A. ぼくのいる会社では、事前に書いてくることがお約束です。書いていない場合、その場で書いていただくことになりますが、並んだ順番は、そのあいだに後ろの方へ抜かされます。前の日までに書いてきてください。
Q. 混雑を避けるには、何時ごろがいいですか?
A. 会社によって違いますが、健診がスタートする時刻に人が集まります。時間割が指定されている場合は、その時間に合わせるのがいちばんです。
Q. 結果はいつごろ届きますか?
A. 郵送で届きます。時期は実施主体によって違うので、届いた案内をご確認ください。受付では分かりません。
Q. 当日、体調が悪いときはどうすればいいですか?
A. 受付でも、毎年ある質問です。別の記事に書きました。→ 健康診断の当日に体調が悪いとき、受けるべき? なお、体調のことは自己判断せず、気になる場合は医療機関にご相談ください。
