機械が測れないものが、ひとつだけある|健康診断の受付24年で気づいたこと

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検診車を運転して、今日も現場に着きました。

準備をしていると、機械の数がここ数年でずいぶん増えたな、と思うことがあります。24年前は、ほとんどのことを人の手と目でやっていました。

目次

「今からロボットを現場に」という問い合わせが増えている

先日、こんな記事を読みました。

ロボット向けのAI基盤モデルを開発しているリアルワールド社の日本代表・李勲氏が、日本企業からの問い合わせについて語っている内容でした。

「今からロボットを現場投入できないか」という問い合わせが、日本企業から増えている(リアルワールド日本代表・李勲氏、ITmedia、2026年8月25日)

背景にあるのは、日本に製造業が多く、ロボット導入に伴うデータもすでに蓄積されていること。そして、深刻な人手不足です。

現場の機械は、この24年でたしかに増えた

健診の現場も、無縁ではありません。

測定機器はどんどん新しくなり、以前は人の手で記録していた数値も、今は自動で処理されるものが増えました。準備にかかる時間も、昔と比べればずいぶん短くなっています。

24年前、この仕事を始めたころは、ほとんどの作業が人の手作業でした。数値を紙に書き写し、計算し、集計する。それだけでかなりの時間がかかっていたのを覚えています。今はその多くが機械の中で完結します。

先日も、バーコードリーダーを使って受付の手続きを進めていたら、受診された方に「おぉーー!!」と驚かれたことがありました。こちらにとっては当たり前になった機械が、久しぶりに健診を受ける方にとっては、まだ新鮮に映るようです。

ロボットや自動化の話を聞いても、「うちには関係ない」とは思えなくなってきています。人手不足という言葉も、記事の中の話ではなく、現場でも実感として近くなってきました。

それでも、受付には人が立っている

機械がこれだけ増えても、受付の仕事そのものがなくなる気配はありません。

なぜだろう、と考えたときに、ひとつだけ思い当たることがあります。

機械は、数値を測ることはできます。でも、その人が今どんな気持ちで並んでいるかは、測れません。

初めて健診を受ける人と、毎年受けている人とでは、並んでいるときの表情がまったく違います。緊張して声が小さくなる人、逆に世間話をしたがる人。同じ列に並んでいても、必要としているものは一人ひとり違います。ここを機械に任せられる日は、まだ当分先だろうと思っています。

「今どんな気持ちで並んでいるか」は、なぜ測れないのか

以前、こちらの記事に書いたのですが、健診の現場でのクレームの多くは「待ち時間の長さ」そのものではなく、「いつまで待つのか分からない」という不安から生まれています。

(詳しくは「クレームは「待ち時間」ではなく「不安」から生まれる」という記事に書きました)

不安の大きさは、数値には出てきません。同じ30分の待ち時間でも、平気な人もいれば、そわそわし始める人もいます。表情や視線の動き、声のトーンの変化。ここを拾っているのは、今のところ人の側です。

機械が現場に増えれば増えるほど、逆にこの部分の価値がはっきりしてきたように感じています。

50代からAIを学びながら思うこと

ぼくは今、50代になってからAIの勉強を始めたばかりの立場です。

以前、AIで仕事は楽になる、と思っていたという記事にも書きましたが、道具が新しくなること自体を怖がる必要はないと思っています。むしろ、面倒な作業を機械に任せられるなら、そのぶん人にしかできないことに時間を使えるはずです。

ロボットが現場に入ってくる流れは、これからも止まらないと思います。それを見て焦るより、「機械にできないことは何か」をはっきりさせておくほうが、自分の仕事の意味を考えるうえで役に立つ気がしています。

正直に言うと、AIやロボットのニュースを読むたびに、少し不安になる自分もいます。50代で新しい道具を覚えるのは、若いころのようにはいきません。それでも、機械にできないことがある以上、そこに自分の時間を使えばいい。そう考えると、少しだけ気持ちが楽になります。

まとめ

「今からロボットを現場投入できないか」という問い合わせが日本企業で増えているという記事をきっかけに、24年の現場を振り返ってみました。

測定機器も記録の仕組みも、この24年でたしかに増え、便利になりました。それでも受付に人が立ち続けているのは、その人が今どんな気持ちで並んでいるかという部分だけは、まだ機械には測れないからだと思っています。

機械が増えるほど、人にしかできないことがはっきりしてくる。今のところ、そう感じています。

これは健診の現場に限った話ではないと思います。どんな仕事でも、道具が新しくなるたびに、同じ問いが返ってくるはずです。「この作業は機械に任せられるか」「自分にしかできないことは何か」。50代になってから、ようやくこの問いと向き合い始めたところです。

よくある質問(Q&A)

Q. 健康診断の現場にロボットが導入される日は近いですか?

この記事で紹介した動きは製造業向けのロボット技術が中心で、健診の現場に直接あてはまるものではありません。ただ、測定機器の自動化は既に進んでおり、今後も同じ流れは続くだろうと感じています。

Q. AIやロボットが増えると、受付の仕事はなくなりますか?

正直なところ、先のことは分かりません。ただ、この記事で書いたように、受診者の不安や気持ちの変化を拾う部分は、今のところ人にしかできないと感じています。

Q. 待ち時間の不安への具体的な対応を知りたいです。

こちらの記事にまとめています。あわせて読んでいただけると嬉しいです。 「クレームは「待ち時間」ではなく「不安」から生まれる


参考
・「今からロボットを現場投入できないか?」増えた日本企業からの問い合わせ(ITmedia、2026年8月25日)
https://www.itmedia.co.jp/news/article/2608/25/2000000731/


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