健康診断の「検診車の運転手」を24年やっています|資格は大型免許ひとつ、それでも続いた話

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検診車を運転して現場に着くと、たいてい、もう人が待っています。

健康診断の仕事を24年やっています。検診車を運転して会場へ行き、着いたら受付をつくって、始まったら受付に立つ。これがぼくの1日です。

持っている資格は、第一種大型自動車免許ひとつだけです。

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「運転手」は、誰でもできる仕事だと思っていた

正直に言うと、この仕事に就いたばかりの頃は、運転の部分を軽く見ていました。

車を会場まで運ぶだけ。着いたら他のスタッフが検査をする。自分の役割は、その前後の「移動」だけだと思っていたんです。

免許さえあれば、代わりはいくらでもいる。そう感じて、少し引け目もありました。

でも、24年やってみて、考えが変わりました。地味に見える部分に、続けた人にしか見えないものがあると、今は思っています。

道を知っていることが、遅れないことにつながる

検診車を運転していると、道にはくわしくなります。

朝に渋滞しやすい交差点、工事でふさがる区間、少し遠回りでも早く着く裏道。24年ぶんの土地勘が、頭の中に地図としてたまっています。

健診は、始まる時間が決まっています。会場に着くのが15分遅れれば、その15分は、最後に並んだ人の待ち時間にそのまま足されます。

「ただ運転しているだけ」に見えて、遅れずに着くこと自体が、受診者のための仕事になっていました。

着いた時点で、もう待たせている

さっきも書いたとおり、会場に着くと、もう人が並んでいます。

つまりぼくの仕事は、「まだ誰も待っていない状態」からではなく、「すでに待たせている状態」から始まります。

だから、受付をつくるスピードがそのまま、その日の空気を決めます。机の位置、案内の紙をどこに貼るか、どこに立ってもらうか。始まる前の十数分の段取りで、最後尾の人の待ち時間が変わります。

以前、「クレームは「待ち時間」ではなく「不安」から生まれる」という記事を書きました。あそこで書いた「待たせない工夫」の半分は、受付が始まる前、車から荷物を下ろしている時間にもう決まっています。

運転と受付、両方やるから分かること

運転手と受付を兼ねていると、受診者が「移動してきた人」だと分かります。

会社の建物から歩いてきた人、車で来た人、朝いちばんに職場へ寄ってから来た人。みんな、健診のためにわざわざ時間を作って、動いてから会場に着いています。

健康診断は「受けるだけ」でもしんどい」という記事にも書きましたが、受ける側は、会場に着いた時点ですでに少し疲れています。

自分も検診車を運転して現場に向かう立場なので、その「着くまでで少し消耗している感じ」が、他人事ではありません。

資格はひとつ。でも、自分から取りに行った

ここまで読んで、「結局、免許ひとつで24年か」と思われるかもしれません。

その免許も、待っていて手に入ったものではありません。

大型免許を持っていないと、この先この仕事を続けられないかもしれない、という時期がありました。自分の立場が、はっきり危うかったんです。

そのとき、当時の上司に直談判しました。ただ、お願いしたのは「時間」だけです。教習所に通う時間をください、と。費用まで出してほしいとは、言えませんでした。

結果、時間は認められました。そして費用のほうは、こちらから頼んだわけではないのに、会社が出すと決めてくれました。時間だけくださいと言った人間に、会社が費用まで付けてくれた。あれは今でも、ありがたかったと思っています。

あのとき言い出さなかったら、いまの24年はありません。ぼくにしては、めずらしく自分から動いた出来事でした。

「自分には何もない」と思っている、同じ立場の人へ

40代、50代で、現場の仕事をしていて、役職もなくて、「自分には人に見せられるものが何もない」と思っている人は、たぶん少なくありません。

少し前のぼくが、そうでした。

でも、こうして書き出してみると、24年ぶんの土地勘も、始まる前の十数分で現場を組み立てる手順も、他の人がやろうとすると案外そうはいかない、という話をよく聞きます。

自分にとっての「当たり前」は、外から見ると「当たり前ではない」ことがあります。ぼくはいま、それを確かめている最中です。

まとめ:出来るか出来ないかではなく、やるかやらないか

24年やってきて思うのは、地味な仕事にも、続けた人にしか見えないものがある、ということです。

・道を知っていることが、そのまま受診者の待ち時間を減らす
・着いた時点で待たせているから、段取りの速さが一日の空気を決める
・移動する立場だから、移動してくる受診者の疲れが分かる
・資格はひとつでも、自分から動いて取ったものは長く効く

ぼくの座右の銘は「出来るか出来ないかではなく、やるかやらないか」です。

大型免許のときも、いまこうしてブログを書いていることも、根っこは同じだと思っています。うまくやれるか分からないけれど、やるかやらないかなら、やる。

よくある質問

検診車の運転手になるには、大型免許が必要ですか?

車両によります。大きい検診車は大型免許が必要ですが、中型や普通免許で運転できる車もあります。ぼくの場合は大型でした。募集要項に「必要な免許」が書かれているので、そこを確認してください。

健康診断の受付は、未経験でもできますか?

ぼくも未経験から始めました。特別な資格は要りません。ただ、混んでいる時間帯に落ち着いていられるか、並んでいる人の表情に気づけるかは、向き不向きが出ます。

50代から新しい資格を取るのは、遅いですか?

遅くはないと思います。取ったものが長く効くかどうかは、年齢そのものより「そのあと何年使うか」で決まります。ぼくの大型免許は、働き始めてから必要に迫られて取ったもので、それが20年以上効いています。

地味な仕事を長く続けるコツはありますか?

「誰でもできる」と思われている部分に、自分なりの工夫を1つ持つことだと思います。ぼくの場合は、会場に着いてから受付を組み立てる手順でした。工夫が1つあると、同じ仕事でも見え方が変わります。


日々の現場での気づきは、Xでも書いています。
👉 @genba50ai

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