検診車を運転して会場に着き、机を並べて、受付をつくります。健康診断の仕事を24年やっています。
会場の準備が終わって、健診が始まる時間になると、人が集まってきます。
「何分前に行けばいいんだろう」と迷っている方に、先に答えを3つ書きます。
・案内に書いてある時間内に、余裕をもってお越しください
・早く行っても、空いてはいません。その時間まで受付をしない会場もあります
・遅れそうなときは、案内に書いてある連絡先に電話してください。その会場では受けられないこともあります
「◯分前」という数字は、この記事には書きません。決まりは、健診を実施する会社ごとに違うからです。
そのかわり、早く行った場合と遅れた場合に何が起きるのかを、現場で見ている範囲で書きます。そこが分かれば、自分で決められると思います。
なお、ぼくが書けるのは、会社に検診車で出向く巡回健診のことです。病院や健診センターは、また違います。違いは巡回健診と病院の健診、何が違う?に書きました。
混みはじめるのは、いつですか?
健診が始まる時間です。
その時間に、人が集まってきます。
多いときは、受付に30人以上が並ぶこともあります。混雑しているときは、列の最後尾の方が30分以上待つこともあります。
では、どういう日に混むのか。ぼくが見ている限り、時間割が組まれておらず、早く受けたい方が始まる時間に集まったときです。
早く終わらせたい、という気持ちは自然なことだと思います。ただ、同じことを考える方が一度に来ると、そこが混みます。
ですから、「朝いちばんに行けば空いているだろう」とは言えません。むしろ、いちばん人が集まる時間帯に行くことになります。
早く行くと「早く帰れる」。でも「短く済む」とは限りません
ここは、混ざりやすいところです。ぼくも、分けて考えるようになったのは最近です。
終わる時刻と、かかる時間は、別のことです。
・終わる時刻……朝いちばんに来た方は、あとから来た方よりは早く終わることが多いです。順番が前だからです
・かかる時間……朝いちばんの方は、検査の待ち時間が長くなる可能性が高いです。その時間に人が集まるからです
たとえば、こんな感じです。あくまで目安で、測ったものではありません。
受付が9時ちょうどの方 → 終わるのが10時30分ごろ(かかった時間は1時間30分)
受付が10時30分の方 → 終わるのが11時30分ごろ(かかった時間は1時間)
早く行った方は、たしかに先に帰れます。でも、会場にいる時間は長いのです。
なぜ長くなるのか。ぼくは、通勤ラッシュの渋滞と同じ原理だと考えています。
ふだんなら20分で通れる道が、混む時間は40分かかる。道が変わったわけではなく、同じ時間に車が集まったからです。健診も同じで、人が集まる時間に行くと、検査ごとに待つ時間が伸びます。
早く帰りたいなら、早い時間。会場にいる時間を短くしたいなら、少し遅めの時間。そういう選び方になります。
ただし、時間が指定されている場合は、その時間に行ってください。次にその話を書きます。
最近の健診は、なぜ時間で区切られているの?
理由は2つあります。
ひとつは、混雑を避けるためです。
部署ごと、あるいは何人かずつ、受付の時間を分けておく。こうすると、受付に長い列ができる時間が短くなります。受ける方にとっては、いいことだと思っています。
もうひとつは、次の会場に間に合わせるためです。
これは、巡回健診ならではの事情です。巡回健診は、一日に1件だけではありません。午前にひとつ、午後にまたひとつ、というように、検診車で何件も回ります。
ですから、次のスケジュールが決まっていることが多いです。時間で区切らないと、次に間に合いません。受診される方の協力が欠かせないのは、そのためです。
案内に書いてある時間は、この2つのために決められた時間です。自分で早めたり遅らせたりすると、その工夫がくずれます。
一方で、ぼく自身は、時間割の現場でも「このままじゃ捌けない」というプレッシャーを感じることがあります。時間割を組んでいても、その日の人数に対して時間が足りていない、と感じる日があるからです。
これはあくまで、ぼく個人の感じ方です。ほかの人がどう感じているかは、ぼくには分かりません。
早く着いたら、先に受付してもらえますか?
会場と、健診を実施する会社によって違います。ぼくが「大丈夫です」と書くことはできません。
時間割がきちんと決まっている会場では、早く来られても、その時間まで実施しないことがあります。
ただし、前の時間に予定されていた方が来ていれば、受付を始めます。空いている枠に入れる、という形です。
聞きたいときは、案内に書いてある連絡先が確かです。
待っていただく場所は、用意しています。ただし、会場の広さによっては、そのスペースを取れないことがあります。巡回健診は、ふだんは別の使い方をしている部屋を借りて行うので、そこは会場ごとに違います。
早めに着いて待つことになった場合に、済ませておくとよいことを3つ挙げます。
・トイレに行っておく
・持ち物を、もう一度見ておく
・案内の注意事項を、読み返しておく
服装で迷ったときは、健康診断は何を着ていけばいい?にまとめています。
遅れそうなときは、どうすればいい?
まず、案内に書いてある連絡先に電話してください。
「◯分までなら大丈夫」という決まりを、ぼくがここに書くことはできません。決まりは、実施する健診会社ごとに違うからです。会場の都合ではなく、会社ごとに違います。
受ける健診の案内が、その日の正解です。
そのうえで、正直に書いておきます。
案内の時間に来られなかった場合、その会場では受けられないことがあります。
意地悪でそうしているのではありません。先に書いたとおり、その日のうちに次の会場が決まっているからです。
そして、これはあまり知られていないと思います。
次の会場にも、待っている方がいます。その方たちも、空腹のまま待っています。
つまり、こういうことです。
遅れた方をお待ちすると、そのぶん、次の会場で待っている方をお待たせしてしまうことがあります。
健診の日は、前の晩から食事を控えていただいています。待つ時間が伸びるのは、けっこうつらいことです。それを、次の会場の方に引き受けてもらう形になります。
ですから、慌てることがないように、余裕をもってお越しください。これが、ぼくが受付でいちばんお願いしたいことです。
遅れる連絡をもらったら、現場は何をしていますか?
ここは、あまり知られていないと思います。ぼくたちが実際にやっていることを書きます。
まず、何時に到着できるかを確認します。
時間内に着けるなら、お待ちします。そのうえで、こうしています。
申し訳ないと思いながら、片付けられる機材は、先に片付けています。
そして、その方の検査がひとつ終わるたびに、終わった検査から順に片付けていきます。こうして、会場を早く引き払えるようにしています。
次の会場で待っている方を、できるだけお待たせしないためです。
意地悪でやっているのではありません。待つと決めたら待ちます。ただ、待っているあいだ、現場は止まっているわけではない、ということです。
これを書いたのは、責めたいからではありません。連絡をもらえれば、現場はこうして動けるということを、知っておいてほしいからです。
黙って遅れて来られるより、一本電話をもらえるほうが、ぼくたちは段取りを組めます。
受付で必ず聞いているのは、時間より食事のことです
時間に間に合ったかどうかより、受付で気をつけて見ているのは、こちらです。
朝、食べてきたかどうかは、受付で必ず確認しています。受診者の方から言われるのを待たずに、こちらから聞いています。
食べてきたかどうかで、その日に受けられる検査が変わるからです。
食事をとってきた場合、バリウムの検査(胃の検査)と、腹部の超音波検査(エコー)は中止になります。健康診断そのものをお断りすることはありません。ほかの検査は受けられます。
血液検査にも、食事の影響を受ける項目があります。受付で聞かれたときに、ぼくがお伝えするのは「影響がありますよ」ということだけです。ぼくは受付なので、検査の数値そのものには立ち入りません。
安全のために、二つだけ書いておきます。
・水は、適度に飲んでかまいません。ただし、量と時間の決まりがあります。ぼくの会社の場合は、朝7時ころまでにコップ1杯程度です。会社によって違うので、案内を見てください
・血圧の薬などは、自己判断でやめないでください
水と薬については、健康診断の日、薬は飲んでいい?水は?に詳しく書きました。量と時間の決まりも、そちらに載せています。
食事の話は、健康診断は午前と午後、どっちがいい?でも触れています。
混んでいる朝、受付でお伝えしていること
時間の話にもどります。
朝いちばんが混んでいる日は、10番目以降に並んだ方に、受付の時点でこうお伝えしています。
「今混んでます。相当時間かかりますのでよろしくお願いします。長い方で1時間超えるかの可能性があります。よろしいですか?」
いい、と言われた方を、受付します。
24年やってきて、これで「じゃあやめます」と言われたことは、一度もありません。
ぼくは、待つことそのものより、いつまで待つのか分からないことのほうが、人を苦しくすると考えています。
時間の目安が分からない。予定が組めない。いつ終わるのかも分からない。そうすると、まず不安になります。その不安が、やがて不満に変わります。「まだですか」は、不満に変わったあとに出てくる言葉だと思っています。
先着順に並んでもらうのも、時間を見えるようにする方法のひとつです。自分の順番が目で見て分かるので、「あの方が呼ばれたから、自分はもう少しだな」と考えていただけます。
このあたりのことは、受付で聞かれること・当日の流れにも書いています。
当日の朝、案内で確かめる4つ
家を出る前に、案内をもう一度見るのがいちばんです。
・集合時間は、「◯時〜◯時」の幅か、「◯時◯分」まで決まっているか
・食事は、いつまでか
・持っていくもの(保険証、検尿の容器など、案内に書いてあるもの)
・遅れるときの連絡先
案内に書いてあることが、その日の決まりです。ぼくが受付でお答えしていることも、結局は案内に書いてあることです。
ひとつだけ、知っておいてほしいことがあります
ここまで、時間のことを書いてきました。最後に、ひとつだけ書かせてください。
遅れた方をお待ちすれば、その方は検査を受けられます。事業所も、受診してもらえたことになります。それは、たしかに得られています。
でも、次の会場に着いたとき、「遅い」という視線を感じながら仕事をするスタッフがいます。
そのことを、受診される方にも少しだけ知っておいてほしいのです。
いじわるで言っているのではありません。待てるのなら、いつまでも待ってあげたい気持ちはあります。
ただ、時間は有限なんです。
まとめ:案内の時間内に、余裕をもって
・案内に書いてある時間内に、余裕をもってお越しください
・早く行っても空いていない。混むのは、時間割がなく、早く受けたい方が始まる時間に集まったとき
・早い時間は「早く帰れる」。でも検査の待ち時間は長くなる可能性が高い
・時間割の理由は2つ。混雑を避けるため。そして、次の会場に間に合わせるため
・遅れそうなら、案内の連絡先に電話する。その会場で受けられないこともある
・連絡をもらえれば、到着時刻を確かめて段取りを組める。黙って遅れられるより助かる
・遅れた方をお待ちすると、そのぶん、次の会場で待っている方をお待たせしてしまうことがある
・次の会場では、「遅い」という視線を感じながら仕事をするスタッフがいる
ぼくは受付を担当していますが、結果を見る立場ではありません。その日の検査が、決まったとおりに受けられること。そこまでが、ぼくの仕事です。
慌てて着いて、朝ごはんの話で引っかかって、検査が1つ減ってしまう。それがいちばん、もったいないと思っています。
待てるのなら、いつまでも待ってあげたい気持ちはあります。ただ、時間は有限なんです。
よくある質問
Q. 健康診断は、何分前に行けばいいですか?
A. 案内に書いてある時間内に、余裕をもってお越しください。「◯分前」という決まりは、実施する健診会社ごとに違います。早めに行っても、混みはじめるのは健診が始まる時間なので、空いてはいません。
Q. 朝いちばんに行けば、早く終わりますか?
A. あとから来た方よりは、早く終わることが多いです。ただし、検査の待ち時間は長くなる可能性が高いです。早く帰りたいのか、会場にいる時間を短くしたいのかで、選び方が変わります。
Q. 早く着きすぎたら、先に受付してもらえますか?
A. 会場と、健診を実施する会社によって違います。時間割がきちんと決まっている会場では、その時間まで実施しないことがあります。ただし、前の時間に予定されていた方が来ていれば、受付を始めます。
Q. 早く着いたとき、待つ場所はありますか?
A. 待っていただく場所は用意しています。ただし、会場の広さによっては、そのスペースを取れないことがあります。巡回健診は、ふだんは別の使い方をしている部屋を借りて行うためです。
Q. 遅れたら、受けられませんか?
A. 決まりは健診会社ごとに違うため、ここで言い切ることはできません。ただし、巡回健診は一日に何件も回るため、次のスケジュールが決まっていることが多く、その会場では受けられないこともあります。遅れた方をお待ちすると、そのぶん次の会場で待っている方をお待たせしてしまうためです。遅れそうだと分かった時点で、案内の連絡先に電話してください。
Q. 遅れる連絡をしたら、迷惑ではありませんか?
A. 連絡をもらえるほうが、ぼくたちは段取りを組めます。到着時刻を確認して、片付けられる機材から先に片付け、検査がひとつ終わるたびに順に片付けていきます。黙って遅れて来られるより、一本電話をいただけるほうが助かります。
Q. 朝ごはんを食べてきてしまいました。受けられませんか?
A. 健康診断そのものをお断りすることはありません。バリウムの検査と、腹部の超音波検査は中止になります。血液検査は受けられますが、食事の影響を受ける項目があります。まず受付で伝えてください。
Q. 水や薬は、どうしたらいいですか?
A. 水は、適度に飲んでかまいません。ただし、量と時間の決まりがあります(ぼくの会社の場合は、朝7時ころまでにコップ1杯程度です)。血圧の薬などは、自己判断でやめないでください。詳しくは、届いた案内に従ってください。
